彦根城は表御殿(おもてごてん)が復元されて、いま、彦根城博物館として公開されとる。なかにつぎのとおり彦根城表御殿の復元にかんする展示資料があって、平面図とほの説明がしるされとる。
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彦根城表御殿の復元
- 彦根城博物館は、彦根城郭の主要なたてもんのひとつであった表御殿(おもてごてん)を復元したもんです。表御殿は江戸時代の初期に当地に造営され、ほのあと、いくどか増改築をほどこしてきましたが、こんかいの復元は、復元するための資料にもっともめぐまれとった江戸時代后期のすがたによみがえらせております。
- 表御殿は、おおきくおもてむき(※平面図のなかのしろい部分)とおくむき(※平面図のなかのちゃいろの部分)で構成されておりました。
- おもてむきは彦根藩の政務や公式行事をおこなったところです。ほりをわたり表御門をはいると、すぐひだりがわに「諸士勤番をなす」遠侍(とおざむらい)が独立したむねを形成しております。この遠侍をへて、表御殿の玄関にあたる御式台(おんしきだい)にはいります。御寄付(おんよりつき)をひだりにみながらすすむと、やがて正面ややみぎのほうにおおきな書院づくりのたてもんが雁行状(がんこうじょう)につらなっております。御広間(おんひろま)と御書院(ごしょいん/御黒書院)です。障壁画や格天井(ごうてんじょう)でかざられた荘厳なたてもんで、対面や儀式などの公式行事にもちいられました。御舞台(おんぶたい)をつかった能などの鑑賞もまた、そうした行事のひとつでした。御広間のおくには2室の笹之御間(ささのおんま)がつらなっております。高禄の藩士が藩の政務をつかさどったへやです。御舞台のおくには表御座之間(おもてござのま)と若殿様御座之間(わかとのさまござのま)がありました。藩主とその世子(せいし)が公務時に座しておりました。そして、もっともおくまったかしょになるのが御料理之間(おんりょうりのま)です。食事どきともなれば、あわただしい光景が展開されたことでしょう。
- おくむきは、藩主などが日常生活をいとなんだところです。ひがしがわに本庭があり、それをのぞむように藩主のいまである御座之御間(ござのおんま)や天光室(てんこうしつ)という茶室があります。にわの対岸には不待庵(ふたいあん)という茶室もつくられておりました。御座之御間から高御廊下(たかおんろうか)をへて御客座敷(おんきゃくざしき)や御座之間(ござのま)にいたります。御座之間も藩主のへやですが、ぜんたいにやや格式をさげ、くつろぐ要素がつよくなっとるようです。御座之間のみぎてには、2階だての御亭(おちん)というたてもんがあります。数寄屋ふうのいろこいたてもんです。そして、これらのおくに、ろうかでむすばれた局(つぼね)がへやをつらねております。侍女たちがつめとった質素なところです。
〔2022年8月11日訪問〕