一宮市博物館に、中日新聞の「のこぎりやね、登録文化財へ」って記事がはりだしてある。
のこぎりやね、登録文化財へ
- くにの文化審議会は2020年3月19日、一宮市木曽川町玉ノ井の葛利毛織工業(くずりけおりこうぎょう)のこうばなど9棟を、くにの登録有形文化財建造物に登録するよう文部科学大臣に答申した。おりもん産業でさかえた地域をしょうちょうする繊維こうばが文化財登録されるのは、一宮市内でははじめて。
(下条大樹さん)- 葛利毛織工業の9棟
葛利毛織工業は1912年に創業。こうば、事務所、主屋、はなれ、男子寮、旧浴場と便所、土蔵、原糸倉庫と倉庫の9棟が登録される。- この地域の繊維こうば特有の「のこぎりやねこうば」は1932年ごろにたてられ、いまも織布(しょくふ)生産がおこなわれとる。きたむきにたかまどがついとるのもとくちょうで、光量の時間変動がすくなく、いとやぬのの検品に適しとる。
- こうばと当時にたてられたとされる事務所は木造2階だて。外観はよこながのいたをかさねた「したみいたばり」の洋風だが、2階の主座敷にはとこのまととこわきをそなえ、和洋折衷のつくりになっとる。
- 主屋はみなみがわの住居部分と、きたがわの倉庫部分をL字がたにつないどる。倉庫部分は当初、女子寮だった。男子寮や旧浴場と便所は、すみこみではたらいとった時代をつたえとる。答申では「職住一体の経営形態の様相をいまにつたえ、いまなおけおりもんぎょうをいとなむたてもん群で、当地域の歴史的景観を形成しとる」と評価された。
- のこぎりやねこうばのかずを調査しとる市民団体「尾張のこぎり調査団」によると、一宮市内には現在、およそ2千棟のこるが、廃業などで減少しとる。
- 一宮市博物館学芸員の神田年浩さん(58)は「これを機に、地域の文化をみんなでだいじにしようという機運がたかまればうれしい」と期待。葛利毛織工業専務の葛谷聡さん(46)は「創業100年をへて、つぎの100年へのせなかをおしてもらえた」とはなした。
- 一宮市内の登録有形文化財は、こんかいの9件をくわえて計23件になる。
〔2022年7月22日訪問〕