【きりぬき】最古のこせんきょう、まもなく終着 - 半田駅に明治末期から110年

けさの中日新聞にこんな記事があった。にほんいちふるい半田こせんきょうがなくなる。

【独自】最古のこせんきょう、まもなく終着 - 半田駅に明治末期から110年

中日新聞(高田みのりさん) - 2021年6月1日05時00分〕

  • 愛知県半田市のJR武豊線半田駅にある1910年建造の跨線橋(こせんきょう)が、2021年6月5日を最后に役目を終えることになった。JR東海によると、建設時と同じ場所にある鉄道の跨線橋としては国内最古で、引退は武豊線の高架化事業で駅舎が取り壊されるため。将来は駅前に完成する公園に移築し保存される予定だが、地元では「寂しさを感じる」と惜しむ声も聞かれる。
  • 上半分はクリーム色がかった白色で、下半分は深い赤色。大人の頭より高い位置に並ぶ窓は、階段部分のみ、傾きに沿った平行四辺形をしている。誕生が明治時代だったことを考えれば、当時としてはモダンなデザインだったはずだ。
  • 床の点字ブロックや窓のアルミかまちなど、后年に整備された部分ももちろんあるが、歴史を感じる痕跡は各所に。階段脇の柱には「明43鉄道新橋」の文字が残る。
  • 「半田でね、国体があったの。それで『お化粧直しだ』ということで、塗装し直したこともあったよ」。国鉄時代、およそ10年にわたって半田駅長を務めた加藤靖さん(87)=半田市=は振り返る。「昔から今と同じ2色塗りでね。モダン? そう、そんな感じ。当時武豊線はこのあたりの主要交通で、半田駅はその中でも一番大きかった。そんな駅の構造物だったからだろうね」
  • 半田市内の踏切渋滞や地域分断解消のため、愛知県は2016年度から、半田駅付近のおよそ2.6キロを高架とする連続立体交差事業を進めてきた。工事はいよいよ、現駅舎の場所に高架構造物をつくる段階。現駅舎と跨線橋が支障となるため、いずれも2021年6月5日の終電をもって仮設へ切り替わる。
  • 地元では、跨線橋の保存を求める声が上がり、半田市は「JR武豊線の産業遺産として価値がある」と保存を決定。半田市が進める駅前区画整理事業の中で、駅前公園の一角に、できるだけ現在と同じ姿で設置するという。今も駅構内に残るれんが造りの油倉庫(明治期)と、隣接の半田市鉄道資料館で公開されてきた蒸気機関車も一緒の予定だ。
  • 2021年5月下旬。跨線橋内部を、スマートフォンのカメラで撮影する人たちがおった。「俺も撮っておこう」「そうしな、そうしな」。天井や壁をじっくり見回し、「そんなに古そうには見えんけどなぁ…」と名残惜しそうに去って行った。
  • 1世紀以上にわたり大役を務めた跨線橋のフィナーレまで、あとわずかだ。

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(さんこう)