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名鉄バスでたずねる尾張、三河の史跡と伝統産業
文章=谷口礼子さん/写真=編集部
あかとしろの名鉄バスがはしる愛知県は、かつて尾張、三河とよばれた地域である。戦国時代にはまさににほんの中心地として、歴史になをはせた戦国武将がはげしくぶつかりあったばしょ。かれらのいきづかいをかんじながら、ながい時間をかけてはぐくまれた伝統をみききし、体験した。時代がうつりかわってもかわらない、地形やそらのいろ、人間のぬくもりあふれるてしごとが、いまとむかしをつないでいる。
たにぐちれいこ◎1983年、横浜市うまれ。早稲田大学文学部卒業。劇団シアターキューブリックに所属し、舞台を中心にかつやくする。
(うえ=尾張瀬戸駅ちかくで「瀬戸焼」の陶芸体験)
(した=足助では「三河森下紙」のかみすきに挑戦)
【1日め】2017年9月むいかかなのか
バスタ新宿 23:45 → (高速バス新宿線) → 6:54 名鉄バスセンター
名鉄バスセンター 8:20 → (本地ヶ原線) → 8:38 市役所
市役所 9:37 → (本地ヶ原線) → 10:19 晴丘
晴丘 10:39 → (本地ヶ原線) → 11:01 瀬戸駅前
瀬戸駅前 12:22 → (東山線) → 12:41 長久手市役所
長久手市役所 13:31 → (本地ヶ原線) → 13:35 長久手古戦場駅
長久手古戦場駅 15:10 → (日進中央線) → 15:55 赤池駅
赤池駅 16:20 → (星ヶ丘・豊田線) → 17:16 豊田市
豊田市 17:35 → (矢並線) → 18:20 足助田町
プロローグ
〔高速バス新宿線〕バスタ新宿 23:45 → 6:54 名鉄バスセンター
Sクラスのぜいたくシートで名古屋いり
午后11時すぎのバスタ新宿は、夜行バスの発車ピークで混雑していた。それぞれののりばから10分おきににほん各地へむけて高速バスがしゅっぱつしていく。わたしが今夜のる名鉄バスの席は、まえ4席のみの「Sクラスシート」で、飛行機のビジネスクラスのように、いすがゆったりとならんでいる。運転士さんが、「谷口さん、あしもとにスリッパがありますのでご利用ください」とていねいにこえをかけてくれる。なまえをよんでもらえるのはうれしいなあとおもいながら、あしもとをかくにんすると、スリッパのほかにコンセントがひとくち。現代の快適な移動に、コンセントはもはや必要条件だ。くつをぬいであしをのばすと、あしもとがひろく、女性のわたしのあしなら、つかえることもないほどの空間。はだざわりのいいあつい毛布にくるまれて、ぜいたくなバスたびがはじまった。
よくあさ、6時50分すぎに名鉄バスセンターにとうちゃく。編集長の加藤さんがまっていてくださった。朝食は名古屋発祥のモーニングを、ということで、えきちかくの「コメダ珈琲店」にあしをはこんだ。小倉トーストとサラダのセットを注文し、おなかをみたして、さあしゅっぱつだ。
名古屋城
〔本地ヶ原線〕名鉄バスセンター 8:20 → 8:38 市役所
「名古屋城」天守閣からまちをみおろす
名鉄バスセンターにもどると、すでにあさのラッシュがはじまっていた。のりばからは、あかとしろの名鉄バスがひっきりなしにでていく。わたしののるバスには、「基幹バス」とあかい文字でかかれている。道路のまんなかの専用レーンをはしるという基幹バスにはつ乗車である。
名鉄バスはなかのりで、自社の「manaca(マナカ)」をはじめ全国10種のICカードに対応している。たちきゃくもでるなか、名鉄バスセンターをしゅっぱつ。くもってすこしむしあつい陽気である。栄をすぎるあたりから、のぼり線とくだり線のちょうどまんなかに、えびちゃいろにぬられ「基幹バスレーン」としろじでかかれた道路が出現。基幹バスはクルマ社会の名古屋で、マイカーの渋滞にまきこまれることなくバスを運行するための工夫なのである。
市役所でバスをおり、9時のオープンをまって「名古屋城」に入城。わきめもふらず、エレベーターで天守閣の展望台までのぼる。エレベーターつきのおしろはちょっと興ざめだけれど、復元天守閣がビルのようにおおきいことにおどろいた。展望台からみおろすと、城下町のおおきさにためいきがでる。公園として整備されているばしょだけでもかなりのひろさで、みわたすかぎりおしろのしきちである。代々尾張徳川家がうけついだ「名古屋城」。これをすべて掌握する城主は、さぞ優越感をあじわったことだろう。
(瀬戸焼のちゃわんづくりを体験)
【ふつかめ】2017年9月なのかかようか
香嵐渓 10:20 → (岡崎・足助線) → 10:52 桑原
奥殿陣屋 12:12 → (岡崎市内線) → 12:42 康生町
康生町 13:01 → (岡崎・あんじょう線) → 13:03 板屋町口
岡崎公園前 15:55 → (岡崎・あんじょう線) → 16:02 東岡崎
(三河森下紙のはがきづくりに挑戦)
(三河武士のやかたで甲冑を試着)
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