安土城は、おおてみちをあがりかけてすぐひだりに羽柴秀吉邸があって、説明がきにつぎのようにかいてある。
伝羽柴秀吉邸
- ここは、織田信長の家臣であった羽柴秀吉(豊臣秀吉)がすんどったとつたえるやしきのあとです。おおてみちにめんしたこのやしきは、上下2段にわかれたくるわ(造成された平地)で構成されております。下段ぐるわのいりぐちとなるこのばしょには、壮大な櫓門(やぐらもん)がたっておりました。1階を門、2階を渡櫓(わたりやぐら)とする櫓門は、近世の城郭におおくみられるもんですが、秀吉邸の櫓門はほの最古の例として貴重です。門内のいしだんをあがると、うま6頭をかうことのできるおおきなうまやがたっております。武士がひかえるとおざむらいとよばれるへやがもうけられとるうまやは、武士の生活にかかせん施設です。下段ぐるわにはうまやが1棟あるだけで、ほれ以外はひろばとなっております。背面のいしがきすそにもうけられたはば2メートルほどのいしだんは、上段ぐるわのうらてにつうじております。
- 上段ぐるわは、このやしきの主人が生活するばしょです。正面のいりぐちはおおてみちにめんしてたてられた高麗門(こうらいもん)です。ほのわきには重層の隅櫓(すみやぐら)がたち、防備をかためております。門をはいるとみぎてにだいどころがあり、さらにすすむと主屋の玄関にたっします。玄関をはいると式台(しきだい)やとおざむらいのまがあり、ほのおくに主人が常住する主殿(しゅでん)がたっております。さらにほのおくにはうちだいどころやとおざむらいがあります。3棟のたてもんを接続したこのたてもん群の平面積は366平方メートルあり、このやしきでは最大の規模をもっております。
- 戦国のよがおわりをむかえようとする16世紀松の武家住宅の全容をあきらかにした伝羽柴秀吉邸あとの遺構は、当時の武士の生活をうかがいしることのできる、まことに貴重なもんといえます。
- 櫓門あとの発掘調査
〔2021年7月15日訪問〕