西本郷大日堂の金剛界大日如来座像

西本郷の和志取神社をおとずれたときに、ちょうどそうじをしてみえたせわがかりのおじさんから、となりの大日堂にある金剛界大日如来座像についての資料をもらった。

2020.5.12 (16) 「金剛界大日如来座像」 1030-1520

金剛界大日如来座像」
岡崎市指定文化財

西本郷町大日堂蔵

1.地域の守り尊として

和志取神社の本地仏と伝えられとる。和志取神社の別当寺だった和志王山薬王寺の仏像だったが、1335年に矢作川合戦の兵火で寺が焼失したため、その后、和志取神社境内の仏堂に安置された。

明治の神仏分離令によって、仏像は一時蓮華寺に移されたが、1891年に現在の大日堂を新築して安置し、地域の守り尊として大切にされとる。

2.岡崎市指定文化財として

平安后期の作と言われ、本地方の平安期最古の作品と言われ、像高119cmはこの地方最大の仏像でもある。

一木造で、かつては彩色像の仏像でもある。像の顔立ちは全体にかなりやさしく、眼も上瞼が水平、下瞼が下方にカーブを画く、いわゆる伏目がちの眼であり、頬の微妙な張りと合わせて、平安時代后半の特徴を示しておる。

頭上の宝髻(ほうけい)の形は、平安后期に流行する定朝様の、結い上げて両側に垂らす形とは異なり、左右に渦巻き状に回す平安時代初、中期に多く見られる形式である。かなり修補された形跡があり、虫食いなどによる崩れも多いが、像高は充分にあり、雰囲気もよく残しておる点から貴重であるということで、1961年岡崎市指定文化財に登録された。

3.平成の大修理

年代の経過とともに虫食いの進行がすすみ、文化財として后世に残していく上に修理の必要性が出てきた。2009年以降再三市へ要望した結果、2011年度の事業として修理が実施された。

2011年5月7日修理のため搬出されたが、2012年3月15日再び大日堂へ納仏された。


参考文献

岡崎市史(矢作史料編)

新編岡崎市史17(美術工芸)

西本郷のあゆみ

岡崎・額田の歴史(上巻)

〔2020年5月12日訪問〕